マラッカで街中を歩くときには、頭を上げて、空を眺めてみると、そこに思いがけず面白いものを見つけることができるかもしれない。

マラッカの空は地上の建物の屋根が描く遠近法的に先細りする複数の稜線によって、味わい深く演出されている。それら屋根は中国・明朝時代の建築物の規定に則って建てられ、多くの屋根の突出部の中央と両端はゆるやかな半円の形を呈し、秩序だてて青空を背景に点在している。そこではマレーシアにいながらも、均衝と秩序を求めた明朝時代の建築物を見ることができる。

なお中国の伝統建築ではたてものの壁を「山壁」、円形の突出部を「棟梁」または「馬背」と呼ぶ。棟梁(馬背)は円形ばかりではなく、平形、斧形、火灯形も見受けられる。これら形状は風水の“金木水火土”に由来し、それぞれ“金形円、木形直、水形曲、火形鋭、土形方”を表している(緩やかな半円形の“金”;三つの円弧を組み合わせた、さざ波立つ水面の円形の波紋のような“水”;上が尖頭アーチ形で,下が広がった形の“火”:上部が平らな“土”;直径の“木”)。

これら建築物が私の興味をそそったのは、“金木水火土”の形が「マラッカ」にあったからだった。明朝時代の建築物というのを、私はずっと中華文化圏の産物であると考え、またそれらの多くは中国国内でさえ近代化に伴って破壊され、当時の原型を今も留めているものは一部のみであるから、中国国内や東アジア諸国はいざ知らず、遠い東南アジアのマレーシアのいち地方都市にも、明朝時代の建築の思考が根付いているという発見は驚きだった。

これら屋根の美しさは屋根そのものというよりも、互いに競り合うように天に向かって伸びていく明朝建築の等質性と、それらが両側に並び繋がりあって形成する大胆な枠組みに縁取られて細い帯のように頭上に見え隠れする青空が織り成す、重層的な美の中にあるのかもしれない。まるで空は自然が織り成す変幻自在な一枚の絵、そして屋根はその絵を縁取るフレームのよう。

ついさっきまで明るく遠くに見えた空が暮れなずんで屋根の淵いっぱいに広がり、淵の中で星星が凍てついた花火のように冬の夜空に静かにきらめくと、私は思いがけぬ場所に美しいものを見た気持ちで心が一杯になった。

malacca___temple_of_colors_by_becsarella-2漫步在马六甲的街中,建议抬起头来眺望蓝天,将会出乎意料地看到有趣的景象。

马六甲的天际线,建筑物的锥形屋顶像绘画的透视法一样由多数的棱线意味深长的描绘出来。这些屋顶是按照古代明朝时期的建筑规定和外观而建造的。许多建筑物的顶部中心突出,两边呈现半圆弧状,在马六甲蔚蓝的天空衬托下,有规律的 点缀着。这些屋顶,大明建筑追求秩序和均衡的精神在眼前充分体现出来。

应当指出的是,在中国传统建筑中,建筑物两端地横向外墙为“山墙”,圆形突出的为“栋梁”(也称为“马背”)。马背不仅仅有圆形的,还有”平”形、“斧”形、“灯”形。它们是按照风水中的“金木水火土”的意义建造的,以各种各样的几何形状来表示。例如:“金形圆、木形直、水形曲、火形锐、土形方”。即:平缓的半圆形代表“金”;由三个圆弧组成的水波涟漪状代表“水”;上部尖锐突出,下部逐渐宽大代表“火”;顶部平坦形代表“土”以及好似一棵细长的树形状代表“木”。

这些屋顶引起了我的兴趣,是因为它们在马六甲这个地方。我一直认为明代建筑是中国的文化遗产。伴随着中国的现代化进程,当今许多古建筑在中国遭到了毁坏。能够将原貌保存下来的是极为稀少的。 中国国内、东亚诸国的情况不很清楚,在遥远东南亚的马来西亚,发现了明代建筑的原貌令我震惊。马六甲居民出于什么样的理由,什么样的信念在这里建起这样的建筑物呢?

比这些漂亮的屋顶更引人注意的是屋脊两侧,其形状像互相竞赛一样伸展到空中。这种两侧对称有序排列的明代建筑的特征加上成片大胆组合的轮廓,让掩映在其中的天空隐隐约约好似一层层蓝色的细带。

渐渐地远方明亮的天空被笼罩在夜幕下,晚霞里鳞次栉比的房顶上,星星像沙子般洒满夜空,闪闪烁烁的,我深深地陶醉在无意间看到的美丽的苍穹中,眼前的星际宛如一幅天然织就的画布,而建筑物的屋脊犹如画框一般把自然景色与人工雕琢的物体结合在一起了。